1996年1月、はじめて我が家にフェレットなる動物を招き入れ、「ウー」と命名したその子が亡くなる2002年10月までの6年と10ヶ月の間、いろいろな事がありました。フェレットという動物の愛らしさ・利口さ・快活さ・無邪気さ・無防備さ・・私たち夫婦ともども、イチコロでフェレットにメロメロとなってしまいました。
そして・・「ウー」とその後飼い始めた「モカ」の2頭ともを襲ったクッシング症候群という病気。フェレットの販売流通システムの弊害で発症しやすい可能性がある事、日本の獣医学のフェレット医療の対応の遅れ(その他の希少ペットならなおさらでしょう)、ほんとうにいろいろな事を教わり、考えさせられました。ウー・モカの病気については下記をご参照下さい。
ウーやモカと過ごした歳月は、今でも私たち夫婦の宝物です。ほんとうに楽しく感慨深い日々でした。2頭の事がきっかけでネットでもたくさんの素敵な人たちと知り合いになれました。ただ寂しいのは我が家ではもうフェレットを飼うことはないだろうという事です。
フェレットに限らず、ブームとなると大量生産(!)をして、売ってしまえばそれでお終いという動物産業の無責任さに対しての抵抗の意味もあります。でも何より病気を発症する可能性が高いフェレットを、情けない話ですが全てを受け止めて改めて飼う勇気が無いのです。
もちろん、この子達を飼わなければ良かったなんて思った事は一度だってありません。病気になって獣医通いをしていた時ですら、私はこの子達にどれだけ癒されていたことか、亡くなった後になってひしひしと感じさせられました。
病気や怪我で多くのフェレットが天寿をまっとうできずに亡くなっている現実、せめてその短い人生が楽しく愛情に満ちたものである様、願って止みません。
フェレットについて
フェレットは非常に運動能力が高い動物で遊びもエネルギッシュ、フェレット同士でじゃれているのを最初に見たときは、喧嘩と勘違いして慌てたものです。生態系では小動物の割に上位に位置するらしく、その所為かあまり警戒するという事を知らない様です。寝姿は無防備そのもの、人がチョッカイ出そうがハンモックからずり落ちそうになってようが知ったこっちゃありません。好奇心も旺盛で何にでも興味を示します。そんな行動的なところがとても愛らしいのですが、警戒をしないので事故にも遭いやすいのです。ありがちなのが消しゴム等を誤飲して腸閉塞になったり、置いてある洋服の中に潜っているのに気づかず人が踏んでしまったり・・。ウチでは洗濯機の排水ホースを噛まれて穴を開けられた事がありましたが、もし洗濯機のモーター部分に入り込んでしまい、知らずに作動させていたら・・と思うとぞっとしました。
群れではなく単独で行動する動物ですが、縄張り意識が希薄なのか多頭飼いもさほど問題はない様です。我が家ではウーを飼い始めた半年後にモカが増えましたが、威嚇するようなそぶりは見た事がありません。仲良くハンモックでぐるぐる巻きになって寝ますし、餌も1つの容器で分け合って(というか周りは眼中に無し)仲良く食べていましたよ。
もし2頭の発病が無ければ、我が家に際限なくフェレットが増殖していたかも。それくらい、フェレットとの暮らしはとても楽しいものでした。
ウー と モカ ウーを飼い始めた頃、獣医さんに「とても大人しくて優しい子ですね」と言われた事があります。じゃれ方の激しさに閉口していた時期だったので、内心「大人しいなんて、どこを見て言ってんのっ!?」って思っていましたが、モカを飼い始め2頭で遊ぶようになってからは人間への執拗な攻撃がぷっつりと止みました。我々の遊ばせ方が足りず単にもっと遊びたい事をアピールしてただけだったんですね。
もともと肉食で小動物を狩って暮らしている動物です。その鋭い牙と爪で本気になられたら人間でも無事では済まないでしょう。ほんのちょっとじゃれて噛むくらい、彼らには痛さの内に入らないようです(我々には充分痛いんですけどね‥)。2頭で遊んでいる時は、耳や首に噛み付きながらでんぐりがえり。んで、やられた方も同じ様に反撃。。この凄まじいバトルが日々行われる彼らの娯楽なんです。やれやれ・・。
一度、こんな事がありました。ウチのダンナが手から餌をやっていて、やり方がまずかったのか、ウーがダンナの指を餌と間違え思いっきり噛み付いて指から血がピューと吹き出る大事件が起こったのです。その時のウーの反応、間違えてダンナに怪我を負わせた事を瞬時に悟ると明らかに狼狽し「僕はなんていけない事をしてしまったんだっ。ごめんなさいっ!」と反省しているのです。ダンナは初めて本気で噛まれた激しい痛さ以上にそのウーの反応が印象的だったようで、今でも語り草になっています。それまでの噛んだり引っ掻いたりも、本気の攻撃ではなく遊びの範疇だった事も判明。ちゃんと加減してたんですね〜。賢くて優しい子なんです、本当は。(だからそう言ったでしょって獣医さんにツッコマれそうですが・・)モカが我が家にやってきて、初めて入浴させた時の事。タライにぬるま湯をはって尻尾からそぉっとお湯に入れようとした時に「ブキーっっ!」と甲高い悲鳴が・・。手足をひどく突っ張らせて、そんなにムキになって抵抗しなくても・・と思うくらい激しい反応でした。フェレットの叫び声というものを聞いたのは、後にも先にもそれ一度きり。モカの入浴はその後断念せざるを得ませんでした。そこまで「お風呂イヤっ!」って意思表示されちゃ・・ねぇ。
おっとりウーとちゃっかりモカ。同じフェレットでも性格・行動がこんなに違うものかと驚きましたね。でも大雑把で大らかなところは2頭とも同じ。ちっちゃな身体なのに心はとっても広いんです♪
発症してから
右の写真はクッシングの症状が進行しつつある頃のウーです。身体と尻尾の被毛が抜けて、皮膚にしわがよっているのが分かるでしょうか。最終的には2頭とも顔面と手足以外には全く毛が無い状態にまでなりました。
でも病気になったから元気が無くなったかというとそうでもなく、相変わらずチョコマカと動き回り悪戯をしいしい楽しそうに過ごしておりました。晩年には年の所為か遊びのパワーは控えめになったものの、昔と変わらず無邪気に遊ぶ好奇心に満ちたその姿は、ちょっと切なくとても愛おしく感じたものです。抵抗力が弱まる・糖尿病になりやすい・・等の心配がありましたのでそれなりに健康管理には気を使いますが、それ自体は痒み・痛みがあるわけではなく、終始苦しさに耐えるという悲壮感漂う闘病生活で無かった事が救いでした。毛の抜け落ちた姿も見慣れ、毎日の薬も習慣になり、時々こんな穏やかな日々が延々と続いてくれるんじゃないかと錯覚する時もありました。そんな事はありえないんですけどね・・。
最後まで明るく病気と闘ったウーとモカ。あんな小さな身体で懸命に生き抜こうとしていた彼ら。私の様なずぼらなダメ飼い主の元で、よく頑張り抜きました。私にとって2頭は単なるフェレットではなく「ウー」と「モカ」、どこにも代わりのいない存在です。出会えた事に感謝します。